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学力には世帯年収が影響?大阪市24区を年収と学力で比較してみた

令和3年度全国学力・学習状況調査大阪市区別分布図

世帯年収大阪市区別分布図

2つの指標から見えてくること

大阪市の子ども学力と世帯年収には相関関係がある

平均世帯年収の高い区では比較的学力が高く、平均世帯年収の低い区では比較的学力が低い傾向があることが分かる。大阪市では世帯収入が学力に大きな影響を与えていると考えることが出来る。

考えられる要因

  • 塾や習い事にかける教育費の違い
  • 家庭環境の違い
  • 保護者の学歴の違い
  • 通っている学校環境の違い

全国的にも学力と世帯年収には相関関係がある

世帯年収別の全国学力・学習状況調査の得点率

「世帯収入(税込年収)」と学力の関係引用元:内閣府(2014)

少し古いデータだが、学力と世帯年収の相関関係が明らかである。収入によって二極化しているというよりは、学力と世帯年収の値が比例しているように見える。つまり、世帯年収が多ければ多いほど、学力が高い傾向があるということである。

全ての自治体の調査結果を調べたわけではないが、大阪市だけでなく、きっと全国どの自治体にも、世帯収入と学力の関係には同じような傾向があるといえるではないだろうか。

まとめ

学力と世帯年収の関係には、子どもにかけられる教育費や保護者の学歴、学校環境等が影響していると考えられる。世帯収入が低い家庭の中には、生活保護、就学援助、ひとり親世帯も多く、子どものための教育費にお金を十分にかけることが出来ていない現状もある。子どもの学力を向上させていくには、教育費の格差是正と家庭環境の問題を解決するなど多面的に問題解決に当たっていく必要がある。

よく学力は本人の努力次第と言われるが、指標を分析する限り、実際には親の収入などの環境がかなりの影響を与える。もちろん世帯年収が低くても、本人の努力によって、高い点数をとる子どももいるわけで、その努力した結果はとても素晴らしいことである。しかし、努力をすれば必ず報われるとは考えない方がいいだろう。成績が上がらない子どもに対して、「努力が足りない」と単純に否定するのではなく、学力は環境によって大きく左右されるので、努力がすべてではないと考えるべきである。

近年、子どもは親を選ぶことが出来ないということから「親ガチャ」という言葉が流行っているらしいが、今回の調査データから「親ガチャ」と世間が言っても仕方がないような結果が出てしまった。この格差を少しでも解決していくために、学力を経済的な視点から支援して高めていく努力をしなければならない。国や自治体などの行政は、補助金の給付等の教育政策を早急に進めていく必要がある。