生徒指導

子どものヤングケアラーの実態・原因・先生へのお願い

近年、「ヤングケアラー」という言葉をよく耳にするようになりました。子どもの教育に関わる課題として、近年大きな社会問題として取り上げられています。

ヤングケアラーとは

通学や仕事のかたわら、障害や病気のある親や祖父母、年下のきょうだいなどの介護や世話をしている18歳未満の子どものこと

日本におけるヤングケアラーの実態

ヤングケアラー割合

  • 中学生 約17人に1人(5.7%)
  • 高校生 約25人に1人(4.1%)

世話をしている家族の内訳

中学生
  • 父母 23.5%
  • 祖父母 14.7%
  • きょうだい 61.8%
高校生
  • 父母 29.6%
  • 祖父母 22.5%
  • きょうだい 44.3%

家族の主な症状

  • 身体障害
  • 感覚障害
  • 知的障害
  • 長期にわたる病気
  • HIVやその他のウイルス
  • 薬物やアルコール依存
  • 精神的な問題

ヤングケアラーの内容

  • 家事援助(料理・買い物・掃除など)
  • 日常生活における一般的な介助(薬の管理・着替え・外出・移動の介助・リハビリ)
  • 情緒面のサポート(励ましなど)
  • 入浴・排泄などの介助
  • 妹や弟の世話や親代わり
  • その他(金銭の管理、病院への付き添い、通訳など)

世話をしているためにやりたいけどできないこと

中学生
  • 宿題をする時間や勉強をする時間が取れない 16.0%
  • 自分の時間がとれない 20.1%
  • 睡眠が十分にとれない 8.5%
  • 友人と遊ぶことができない 8.5%
高校生
  • 宿題をする時間や勉強をする時間が取れない 13.0%
  • 自分の時間がとれない 16.6%
  • 睡眠が十分にとれない 11.1%
  • 友人と遊ぶことができない 11.4%

考えられる原因

  • 女性の社会進出の増加
  • 晩婚化が進み、高齢出産による親の高齢化
  • シングルマザー(シングルファザー)の増加
  • 大家族における両親の共働き
  • 行政や社会の理解・サポート不足

ヤングケアラーへの影響

  • 親子関係の逆転
  • 教育問題(遅刻・早退・欠席・不登校など)
  • 社会生活と友人関係(社会的孤立)
  • 経済問題(貧困など)
  • 人格形成と進学・就職問題

ヤングケアラーの声

周囲のサポートや理解不足

「先生や友達に話したけれど、祖母の介護のことを理解してもらえなかった。」

体調不良

耳鳴りや吐き気、頭痛。気力が出ず、気持ちが沈み祖母にあたってしまった。いつもあとで後悔している。」

社会的孤立

「楽しい学生生活は送れなかった。将来についても誰かと話すことがなかった。」

母との関係

「お互いを思いやる余裕はなく、ぎりぎりの関係だった。」

学校の先生にお願い

まずは早期発見を!

実際に多くの場合で、ヤングケアラーの子どもを発見しているのは、学校の先生です。いつも子どもたちのすぐ傍にいる、学校の先生が1番家庭の状況が見えやすいです。ヤングケアラー問題についての知識をつけ、常にアンテナをはって、早期発見につなげてほしいです。

13歳~18歳と言えば勉強や部活にとても忙しい時期でです。この忙しく大事な時期に家事や家族の介護に負われるようでは、勉強や部活といった学校生活に悪影響を及ぼす可能性が高いです。

欠席や遅刻、宿題忘れによる学力低下、部活動不参加による体力低下健康面への影響、友人と遊ぶ時間がとれず、コミュニケーション能力の欠如に繋がる可能性もあります。からかわれたり冷やかされたりするなどのいじめに発展するケースも考えられます。

また、高校入試や、大学入試のタイミングでもあることから、精神面、経済面においても、子どもの進路に大きく左右すると考えられます。

今、日本では急ピッチでヤングケアラーに関する法整備が進んでいます。イギリスでは30年程前からヤングケアラー問題に取り組み成果をあげています。イギリスなどのヤングケアラー先進国を参考に、これから日本でも支援体制が構築されていくはずです。

まずはヤングケアラーの子どもを早期発見し、行政と連携して対応していく必要があります。早期発見のカギを握るのは1番規格にいる学校の先生なのです!