現状の教員免許更新制度
教員免許更新制度とは
教員免許更新制度とは平成21年4月1日から導入された制度で、教員免許に10年の有効期間を設け、更新にあたり30時間以上の講習受講を義務付ける制度のことです。
教員免許更新制度導入の目的
導入の目的は、一度取得した教員免許がその後1度も更新されなければ、教員に求められる資質や能力がきちんと保持されていない場合があり、定期的に最新の教育の知識や技能を講習を通して身に付け、教員自身の指導力向上や、子どもや保護者が安心して高い教育を受けることができるためです。
教員免許更新制度の問題点
現状では、免許を更新しないと免許は失効してしまいます。免許更新を忘れて失職するケースも相次いでいます。ただ、教員免許の更新にかかる約3万円の費用は自己負担で、夏休み期間などに受けるため、教員の負担となっています。
そのためか、教員の自発的な学習意欲が低くなっており、教員の指導力向上に役立っているとは言い難いです。また、目まぐるしく社会が変化し、教育改革も行われている中で、10年に1回という長期スパンの講習では、常に最新の知識や技能を学べているのか疑問の声もあります。

教員免許更新制度廃止か?
昨今の「教師ブラック」の影響もあり、教師を目指している人が減ってきています。ここ5年で教員志望者が約3万人減っています。優秀な人材が集まらなくなり、教育の置かれていく環境はますます厳しくなるばかりです。
そんな中で、少しでも教師の働く環境を改善して、教員志望者を増やしていくために、教員免許更新制度廃止の動きが出てきています。
文部科学省は、2023年に教員免許更新制度を廃止するために、2022年中に国会での法改正を目指すことが分かっています。

教員免許更新制度廃止で反発も!?
教員免許更新制度廃止は労働環境の改善となり、負担が減り、教員志望者減少の歯止めになる可能性があり、いち早く法改正をした方が良いように見えますが、そうでもないです。
昨今テレビや新聞などのニュースでは、連日のように教員の不祥事やいじめ問題への不手際、隠蔽、学級崩壊などの報道がなされています。教員免許更新制度を廃止することで、ますます教員の質が悪くなることを懸念する反発も起きるでしょう。
最新の教育の知識や技能を講習を通して身に付け、教員自身の指導力向上や、子どもや保護者が安心して高い教育を受けることができるようにするために、教員免許更新制度”廃止“ではなく、教員の質の向上を図りつつ、負担感を減らすオンライン講習への移行等の教員免許更新制度”改革“が必要になってくるでしょう。