教師

【入学式】新入生に向けて送る詩・教室掲示・黒板用【春の詩】

「春に」 谷川俊太郎

「春に」

谷川俊太郎

この気もちはなんだろう

目に見えないエネルギーの流れが

大地からあしのうらを伝わって

ぼくの腹へ胸へそうしてのどへ

声にならないさけびとなってこみあげる

この気もちはなんだろう

枝の先のふくらんだ新芽が心をつつく

よろこびだ しかしかなしみでもある

いらだちだ しかもやすらぎがある

あこがれだ そしていかりがかくれている

心のダムにせきとめられ

よどみ渦まきせめぎあい

いまあふれようとする

この気もちはなんだろう

あの空の青に手をひたしたい

まだ会ったことのないすべての人と

会ってみたい話してみたい

あしたとあさってが一度にくるといい

ぼくはもどかしい

地平線のかなたへと歩きつづけたい

そのくせこの草の上でじっとしていたい

大声でだれかを呼びたい

そのくせひとりで黙っていたい

この気もちはなんだろう

「今日はいい日」 宮澤章二

「今日はいい日」

宮澤章二

「今日はいい日なんだ」と思う

「いい日なんだから元気を出そう」と思う

そう思うだけで 自然に元気が出る

 

不思議でもなんでもない 日常の真実

人間は「こころ」によって呼吸する 存在

目には見えない「こころ」に支えられて

どんな苦しみをも克服できる 生きもの

 

だから 私たちは身体を鍛えるように

みずからの力で〈こころ〉を鍛えつづけ

心身供にたくましく育つ必要がある

 

「今日はいい日なんだ」と思うから

元気が出て 努力して 今日が充実する

 

そして 充実の喜びを与えてくれる今日が

「明日もいい日……」の希望を生むのだ

「第一歩」 須永博士

「第一歩」

須永博士

いまからなんです

そうです

いまからはじめるのです

いまから本気でやりはじめれば

きっといつの日か

やりとげられた日がくると信じます

つらい道かもしれません

ひとりぼっちの道かもしれません

不安な道かもしれません

でもやるんです

いまから

夢にむかって

わたし

第一歩です

「四月」 金子みすゞ

「四月」

金子みすゞ

新しいご本、

新しいかばんに。

 

新しい葉っぱ、

新しいえだに。

 

新しいお日さま、

新しい空に。

 

新しい四月、

うれしい四月。

「私と小鳥と鈴と」 金子みすゞ

「私と小鳥と鈴と」

金子みすゞ

   私が両手をひろげても、

お空はちっとも飛べないが

飛べる小鳥は私のやうに、地面を速くは走れない。

私がからだをゆすっても、

きれいな音は出ないけど、

あの鳴る鈴は私のやうに、たくさんな唄は知らないよ。

鈴と、小鳥と、それから私、

みんなちがって、みんないい。

 「どの子も子どもは星」 東井義雄

 「どの子も子どもは星」

東井義雄

みんなそれぞれがそれぞれの光をいただいてまばたきしている

ぼくの光を見てくださいとまばたきしている

わたしの光も見てくださいとまばたきしている

光を見てやろう

まばたきに 応えてやろう

光を見てもらえないと子どもの星は光を消す

まばたきをやめる

まばたきをやめてしまおうとしはじめている星はないか

光を消してしまおうとしている星はないか

光を見てやろう

まばたきに応えてやろう

そして

やんちゃ者からはやんちゃ者の光

おとなしい子からはおとなしい子の光

気のはやい子からは気のはやい子の光

ゆっくりやさんからはゆっくりやさんの光

男の子からは男の子の光

女の子からは女の子の光

天いっぱいに

子どもの星を

かがやかせよう

「天地有情」 土井晩翠

「天地有情」

土井晩翠

沖の汐風吹きあれて

白波いたくほゆるとき

夕月波にしづむとき

黒暗よもを襲うとき

空のあなたにわが舟を

導く星の光あり

「鳥は飛ばねばならぬ」 坂村真民

「鳥は飛ばねばならぬ」

坂村真民

人は生きねばならぬ

怒涛の海を飛びゆく鳥のように

混沌の世を生きねばならぬ

鳥は本能的に 暗黒を突破すれば 光明の島に着くことを知っている

そのように人も 一寸先は闇ではなく 光であることを知らねばならぬ

新しい年を迎えた日の朝 私に与えられた命題

鳥は飛ばねばならぬ

人は生きねばならぬ

「ファイト!」 中島みゆき

「ファイト!」

中島みゆき

ファイト! 闘う君の唄を
闘わない奴等が笑うだろう

ファイト!!冷たい水の中を
ふるえながらのぼってゆけ

ファイト!

「スタートライン」 喜志詩

「スタートライン」

喜志詩

同じスタートライン

よーいどん

 

前に走るだけではない

後ろに走ることもできる

左にも右にも

歩いてもいい

たまには止まったっていいさ

 

さあ進もう

自分のゴールに向かって