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学校の先生が大規模ストライキ⁉革命の国フランス。日本でストライキはできるの?

フランス国内で教員が大規模ストライキ!

小学校教員の労働組合 ‘SNUipp-FSU’ と、中学校、高校教員の労働組合 ‘SE-Unsa’ が、2022年1月13日(木)にストライキを開催しました。

このストライキに対して、保護者評議会連盟(Fédération des conseils de parents d’élèves)も支持をし、13日(木)に子どもたちを学校に通わせないように要請し、多くの学校が休校となりました。

内務省の発表では、ストライキの参加者は教員全体の50%以上である全国78,000人にものぼり、パリだけでも8,200人の参加者を記録しています。

また、全国で半数の小学校が休校となり閉鎖されました。

ストライキの理由

ブランケール教育大臣の規約緩和が不満

  • 陽性者1人で学級閉鎖
  • 接触者の感染検査は家族間でも施行
  • 規則的な週ごとの唾液検査

といった規約を撤廃する緩和策に強く反対をしています。

学校は託児所ではない

今まではコロナウイルスの疑いがあった場合は、すぐに保護者に迎えに来てもらっていたが規約緩和で、保護者が仕事に安心して従事できるように、すぐに迎えに来る必要はなく学校で最後の授業まで受けられることにしました。

これは4月に大統領選挙を控えている政権の、共働き世帯への支持率アップを狙った目玉政策の一つでもありました。

極端な扱いの違い

クラスに陽性者が出た場合の扱い
  • 12歳以上のワクチン接種生徒・小学校全児童
    ⇒抗原検査を2日目、4日目にセルフで受けて、陰性なら登校再開(教員が登校時に証明書を確認)
    ※これまでは即座に全員PCR検査をしていました。
  • 12歳以上のワクチン未接種生徒
    ⇒7日間の隔離規制

教員不足で学校現場は大混乱

コロナウイルスによって、フランス国内全体の2%にあたる10,000以上のクラスが閉鎖しているにも関わらず、政府は「学校閉鎖、および全土封鎖は行わない」と断言しています。

その状況でクラスに陽性者が出た場合、クラス全員に抗原検査陰性証明書を毎朝教員が確認する業務が増えては不満が出るのもおかしくありません。

また、コロナウイルスの疑いがあっても最後まで授業を受けさせることで、教員や生徒の感染は増えていくばかりです。

感染で教員も減り、業務は増え、政府は制度を二転三転させている状況では現場は混乱してしまうのは当たり前です。

組合事務総長のダヴィド氏は、

現場で働く教員のことを考えていない。この規約緩和では、学校内の感染者数は減らない。減るどころか感染者は増加している。提出される検査結果の証明書の数が日に日に増えている。

と、カステック首相の発表に落胆するのも無理はありません。

現場の教師らは、

あまりの混乱に管理が不可能
出席率がバラバラで、生徒はしっかり学習できない状態。また教師が欠席しても、代わりの教員が見つからない
学校でのコロナ規約の情報をいつもメディアを通して初めて知る。なぜ上層部からおりてこないのか。

と訴えています。

ストライキの結果

緊張を緩和させるべく、カステック首相は13日(木)の午後、ブランケール教育大臣と共に、組合の代表者らと会合を開催しました。

そこで

  • 500万枚の保護力が強いとされるFFP2マスクを小学校に支給
  • 教室内に二酸化炭素測定器を支給
  • 休んでいる教員の代わりとなる多くの教員の派遣

を約束しました。

ただ、学校の閉鎖は変わらずしない方針なので、今後再びストライキが行われるのか、沈静化するのか注目です。

フランスはストライキが多い!

フランスでは年に数回はそれなりの規模のストライキが起きています。鉄道会社や航空会社、郵便局員、驚くべきは警察官や弁護士、看護師などの病院関係者もストライキを起こしています。

そのため、電車や飛行機が一定期間運行しなかったり、郵便物が届かなかったり、病院が開いていなかったりと市民はその旅に不自由を強いられることになっています。

しかし、ストライキに大きな反発はありません。市民は「またストライキか~」くらいにしか感じていません。

きっと、自分たちの権利を主張するために革命を起こす文化が根強いのでしょう。

日本の教員はストライキできるのか

地方公務員法37条(争議行為等の禁止)
1 職員は、地方公共団体の機関が代表する使用者としての住民に対して、同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、またはその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおってはならない。

つまり、公務員(教員)の同盟罷業(ストライキ)、怠業(サボタージュ)等の争議行為は禁止されています。

また、日本ではフランスと違いストライキの文化が根強くないので、教員が大規模でストライキをすると保護者や生徒、地域の反発も予想され、教育崩壊の方向に向かい、フランスとは比べ物にならないほどの大混乱を招いてしまうでしょう。

ネット上ではこういったコメントも・・・

日本ではこんな大規模デモはないでしょうね。

日本の教員は上に逆らえないし、長時間労働のブラックさにも何も言えないから休校にしたら責任問題だ!とか言われて何も出来ずに、どんどんブラックになりそう。

社会インフラを維持するために学校を休みにさせないのは理解できるなぁ。
欧米だと日本よりも子供を放置できないから、親が休まないと駄目だろう。
連鎖的に社会が機能不全になる。
デモの権利はあるけど、そのせいで他人の権利を著しく侵害するのはいかがなものか・・・