皆さんはDVという言葉を知っていますか?
DVとは、ドメスティック・バイオレンスという言葉を略したもので、配偶者や恋人など親密な関係にある人からの暴力のことです。
また、交際中の恋人間のDVのことを「デートDV」と言います。
中学生や高校生で起こりやすいのは、このデートDVです。
大体の場合において、男女を問わず、片方の恋人が被害を受けています。
好きで交際している人の間で暴力が起こるなんて信じられないかもしれませんが、実はみなさんの周りでも起こりうる身近な問題なのです。
デートDV の種類
身体的暴力・精神的暴力
殴る・たたく・蹴る・腕をつかむ・ひねる・髪を引っ張る・物を投げつける・刃物などを突きつける・首を絞める・・・
大声で怒鳴る・人前でバカにする・無視をする・傷つくことを言う・おどす・・・
メッセージの返信が一晩できなかっただけで彼から問い詰められた。
部活で疲れて寝てしまっていただけなのに。
少し言い返したら「口ごたえするな」と怒鳴られて腕をねじりあげられた。
怖くて泣きながら謝ると、
「好きだからこそ怒るんだよ。痛かったね。ごめんね。」
と急に優しくしてくれた。
どんな理由があっても、
暴力はいけません!
相手が自分の思いどおりにならなかったときに、力や態度で一方的に自分の考えを相手に押し付けようとするのはいけないことです。どんな事情があったとしても、手をあげたり、大声で怒鳴ったりしてはいけません。「相手が自分の言うとおりにしない」からといって、その人に暴力をふるってもいいということにはならないのです。
DVにはサイクルがあると言われています。暴力をふるったあとに、一転して優しくなったり、二度としないと謝ったり。しかし、自分の思いどおりにならないことがあったり、イライラしたりすると、再び暴力をふるうようになり、それが繰り返され、どんどんエスカレートしていきます。
性的暴力
性行為を強要する・避妊に協力しない・ポルノビデオ等を見せる・裸などの撮影をする・・・
カレといつものようにスマホでやりとりしていたら、突然
「裸の写真送って」
とメッセージがきた。
「嫌」
だと送ったんだけど、カレは
「好きなんだからいいだろ」
「もう別れる?」
などと送り返してきた。
カレのことは好きだし、別れたくないし・・・

どんなに好きな人からであっても
嫌なことには「NO」と言える関係に!
自分の気持ちを我慢して相手の言いなりになる必要はありません。なぜなら、あなたは、一人の「人間」として、自分のことは自分で決めることができるからです。嫌なことは、「嫌」と言っていいのです。胸やお尻などのプライベートパーツをむやみに見せると性的な関係につながり、また、それが性暴力にエスカレートすると、望まない妊娠をしたり、性感染症になってしまったりする恐れがあります。
性感染症とは
性感染症は性的接触によって感染する病気です。中高生でも感染する場合があります。主な感染症には次のようなものがあります。
・クラミジア感染症・・性感染症の中で1番多い。女性の8割は無症状。
・淋菌感染症・・・・・男性に多い。尿道から白い膿が出る。
・梅毒・・・・・・・・平成26年から増加。女性では10代・20代が多い。
社会的暴力
交友関係を制限する・行動を監視制限する・メールなどをチェックする・・・
最近彼女が僕の行動を監視したがって息が詰まる・・・
今日も友達と久しぶりのカラオケだったんだけど、
「何時に終わる?」
「17時に待ってるから」
と大量のメッセージが。
5分遅れてカラオケ店を出ると激怒する彼女から暴言を浴びせられ
「私以外の人とカラオケ行くのはナシね」
と言われ、スマホの連絡先も消されてしまった。
交際しているからといって、
相手の自由を奪うようなことをしてはいけません!
人を好きになったら、その人のことが気になるのは自然なこと。でも、気になるからといって、相手の行動を監視したり制限したりするのはいけないことです。なぜなら、相手はひとりの「人間」として自由に物事を考え、決めることができるからです。お互いに相手の時間や意思を尊重しあうことが大切です。
どうして被害にあっているのに離れられないの?
- 「自分が悪い」と逆に罪悪感を感じさせられ、一種の洗脳状態になっている。
- 恐怖を植え付けられ、自分の意思で判断・行動できない。
- 男性でも女性でも、被害を受けていることを恥ずかしくて他人に言えない。
- 自分が我慢していれば、相手も変わるかもしれないと期待してしまう。
- やっぱり好き、一人になりたくないと思っている。 など
経済的暴力
デート費用を全く払わない・借りたお金を返さない・高価なプレゼントをねだる・外で働かせない・仕事を辞めさせる・生活費を渡さない・貯金を勝手に使う・・・
今日は大好きな彼女とのデートだったんだけど・・・
お腹が空けば
「ねぇなんかおごってよ」
ショッピングをしていれば
「これかわいい!買って!」
と最近は彼女にお金を使ってばかり。
今日はお金がないって断ったら
「男なんだからこれくらい買ってくれて当たり前じゃない?」
って。
交際相手の気持ちを考えず、いつもデート代をすべて払わせるなど、
金銭的自由を奪うことも暴力になります!
殴られたり、怒鳴られたりしたわけじゃないから、これはデートDVには含まれない?いえいえ、そんなことはありません。恋人同士だからといって高価なプレゼントをねだったり、毎回食事をおごらせたりするということは、2人の関係が「対等」ではなく、経済的暴力にあたります。
交際相手と素敵な関係を築くために
①暴力を認めない
どんな事情があったとしても、どんなときも暴力をふるっていいという理由にはなりません。
DVは人権侵害であり、犯罪行為です。
②自分のことを大切にする
人はみんな生まれながらにして一人ひとり大切にされるべき存在です。
暴力をふるわれてもいい人など一人もいません。
嫌なことは「NO」ということもできるのです。自分の気持ちや身体を大切にしましょう。
③相手のことも大切にする
自分のことを大切に思う気持ちと同じように、常に相手を大切にする心を持つことです。相手の話に耳を傾け、たとえ自分と違う意見であっても、その考えを認め、受け入れましょう。
これはデートDV!?
1つでもあてはまったら要注意!
加害者になっていないかチェック
- メールやLINEの返事が遅いとイライラして相手を責めていますか?
- 相手の行く場所、服装、行動など知っていて当然だと思っていますか?
- 腹が立つと相手の目の前で大声を出したり、殴ったりしますか?
- 自分は相手に何を言っても良いと思っていますか?
- いつも自分が正しいと思っていますか?
- 相手が思い通りでないと腹が立ちますか?
- 付き合っている相手は自分のものだと思っていますか?
- 相手が他の異性と話していると、すごく腹が立ちますか?
被害者になっていないかチェック
- メールやLINEを勝手に見られたり、電話やメール・LINEの返事が遅いと怒られますか?
- けんかしたとき、怒られているのはあなたのせいといって、責められますか?
- あなたが傷つくようなことを言われますか?
- あなたは相手を怖いと思うことがありますか?
- 友人と遊びに行くことを嫌がられたり、禁止されたりしますか?
- デート代はいつもあなたが払っていませんか?
- 相手を怒らせないように、我慢していませんか?
こんなときは
もしデートDVを受けていると感じたら
まずは誰かに相談しましょう。友達、先生、家族。あなたの相談しやすい人なら誰でも構いません。一人で問題を抱え込み、悩んでいると、ますますつらく苦しくなってしまいます。誰かに相談することで、新しい解決方法が見つかることがあります。
友達が交際相手との関係で困っていたら
まずはその友達に声をかけて、話を聞いてみてください。あなたの一言が、友達の支えになるかもしれません。そして、暴力の被害を受けていると知ったら、『あなたは悪くない』と優しく伝え、大人に相談するように勧めましょう。
こんな言葉は言わない方がいいです!
「よくあることだよ」「なんでそんな人とつきあっているの?」「相手を怒らせないようにした方がいいよ」「別れたらいいじゃない」
もしデートDVの加害者になっていると感じたら
あなたが一番相談しやすい誰かに打ち明けてください。とても勇気のいることですが、あなたの大切な交際相手とあなた自身が、より良い関係を築いていくために必要なことです。
大切な人を傷つけてしまう前にちょっとやってみませんか?
- イライラしたらとりあえず深呼吸
- けんかになりそうなときは、勇気をもって相手と離れてみる
- 相手にとって本当はどんな自分でいたいのか考えてみる
